夢のような時間   

2006年 12月 03日

奄美公演の時のお話。

奄美の打ち上げのあと、独りで繁華街から外れた、港の近くのJazz Barに行った。
僕は舞台中はほとんどお酒を飲まないのだが、次の日が移動日で本番がないのと、
奄美の空気が心地よく、寝る前に一杯やりたくなった。
このBarは朝散歩をした時見つけて何か気になっていた。

しかし初めての店は入りづらい・・・。

入り口にAM3時までと書いてある。
腕時計を見るとAM2時20分。
『あと40分か・・・』
恐る恐るドアを開けると、まず初老のマスターが目に入った。
店内は青白く、まるで月明かりのような優しい色につつまれ、心地良いJazzがながれていた。
そして常連風の女性が3名、カウンターに座っていた。
『あの~、一杯だけ飲みたいんですけど、良いですか?できればおつまみとかもいらないのでチャージなしで』
ニコッとして『良いですよ』とマスター。
そしてカウンター席に座り、昔よく飲んだカルアミルクを頼んだ。
ドリンクを待ってる間に、店内に目をやるとテーブル席がいくつかと、
その奥にピアノ、ドラムセットがあった。
まもなくカルアミルクが僕の前に。
マスターと乾杯、そして3人組ともかるく会釈でグラスをさしだし乾杯した。

それから僕とマスターは、ボツリ、ポツリと話し始めた。

心地よい、ゆったりしたペースで・・・。

会話の中で僕が店の奥にあるピアノに目をやり、
『ライブとかもやったりするんですか?』と聞くと、
『たまにやりますよ。』と、マスター。
『ライブは良いですよねぇ・・・ライブか・・・今聴きたいですね、ピアノ!この雰囲気で。』と僕。
『聴きたいってさ!』とマスター、
カウンターの女性たちに話しかけている。
『・・・?』となっている僕に、
『真ん中に座ってる彼女はピアノの先生してて、たまに気が向くとここで弾くんだよ、なぁ!』とマスター。
『ホントに!!あの~、今日は気が向きません?ピアノ・・・弾きません?』
と、僕は彼女に話しかけた。

・・・数秒の沈黙・・・。

『・・・じゃあ、弾きますか、ねぇ!』と、彼女。
カウンターを離れ、ピアノへ!

こうして奄美大島の真夜中のライブが始まった!

『リクエストは?』の問いかけに、カウンターの女性達から
『デスペラード!』(イーグルス、平井堅)の声。

ゆったりと、優しいデスペラードが店内を、そして僕らをつつんでゆく。

それから、ジョージウィンストンのあこがれ/愛
カーペンターズのイエスタデーワンスモア
尾崎豊のI LOVE YOU
ショパンなど、リクエスト、そして思いつくままライブは続いた。

最高に贅沢な時間がゆっくりと過ぎてゆく。

そしてライブを終えた彼女をカウンターへ拍手で迎え入れ、お礼を言い、色んな話をした。
舞台の事、戦争の事、この店が来年で閉店してしまう事、マスターの子供の事、奄美の事など色々。

楽しい時間。明らかにライブが僕らの距離を縮めていた。
そしてマスターが、
『生まれてきた喜びに、そして出会いに』とワインを振舞ってくれた。
そして『乾杯!!』

それからマスターが、一番年配の女性に、
『来年、そろそろけじめつけようか・・・な。』と言った。
やさしく微笑む彼女がそこにいた。
そのあと、自然とカウンターの中に入り、そっとマスターに寄り添った。

最高に最高に幸せな時間・・・・

『この店に来て良かった』と心から思った。

ふと時計を見るとAM4時半。閉店から1時間半も過ぎていた。
楽しい時間は本当に早い。

『じゃあ、そろそろ帰ります。時間、スミマセン。でも来て良かったです!美味しいお酒でした!』と言い、夢の時間を後にした。



そしてこの日は僕の大好きなリバーフェニックスが旅立った日だった。





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by taiju-yamamoto | 2006-12-03 03:54

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